じゅりっこの歴史③第二章『なめらかさ』
つづき
じゅりっこはどのようにダンスが上達していったのかを探っていくシリーズです。
今回は5~10歳まで。
ダンスに出会って最初の5年間。彼女の原点に迫ります。
5歳のじゅりっこさんは体を動かすのが大好きで、ご両親・男兄弟と一緒にボールやローラースケートなどで遊ぶ、とても活発な女の子でした。おとなしく遊ぶことはほとんどなく、家の中でもいつもにぎやかに走り回っていたそうです。
そんな彼女は、ダンスにも興味を示しました。
安室奈美恵さんなどのアーティストが出演しているテレビ番組をいくつも録画し、細切れの映像を頭のなかで組み合わせ、リモコンを使って何度も何度もテープを巻き戻しては、一日中再生しまくって覚えました。
いまでも、解説動画を撮るために、KPOPアイドルの動画素材を多方面からかき集めて必死で覚えています。20年経っても同じようなことしてますね(笑)
そんななか、浅田真央さんがバレエを踊っている姿に憧れを抱いたことが大きなきっかけとなり「ダンスを習ってみたい」と言ったそうです。
お母さんは、幼稚園のお遊戯会で楽しそうに踊るじゅりっこさんの姿に光るものを感じていたらしく、迷うことなくダンススタジオへの入会を決意されました。
バレエを習いたかったようですが、近くにバレエスタジオがなかったので、最初に通うことになったのは近所にある個人経営のダンス教室です。
ジャンルはJAZZ。
彼女の原点であり、最も得意とするダンスジャンルです。
また、そのスタジオにはバレエの先生もいらっしゃったので、バレエ基礎の指導をしてもらえたそうです。
始まりのスタジオ その名も『StudioJazz』
ここに通った5年間で、ダンスに必要な要素のひとつ『なめらかさ』を習得します。
教えてもらう振付は、先生が若くなかったこともあり、決してキレキレの現代風ダンスではありませんでした。ミュージカルやシアタージャズ、もしくはエアロビに近い、簡単な振付のダンスです。
だからこそ、ひとつひとつの動きの導線やポージングなど、細かい部分が全体の見栄えに大きな影響を及ぼします。(解説動画をよく見ている方はわかると思いますが、じゅりっこさんがいつもこだわって指導しているのはこの事です。)
この頃からすでにダンスの完成度にはこだわりがあり、家のお風呂場の鏡や、食器棚のガラスに映る自分の姿を見て、手の動きやポーズを毎日確認していました。
ご両親に見られるのは恥ずかしかったようで、隠れるように隙を見て練習をしていたと語っています。
当時はダンスへの熱意が半分、もう半分はダンスをしている自分がかっこいいから楽しい、という気分でやっていたそうです。
振付には上半身の動きが多かったため、自主練習はほとんど手の動きとポージング、そして教えてもらった基礎練習だけしかやることがなかったそう。
この一見すると地味な振付や自主練習を、彼女はなんと5年間(!)続けました。
10歳当時の映像を確認しましたが、ダンスにキレや力強さはありません。振付も簡単で、今時のKPOPのようにかっこいいわけではありません。
しかし、手の動きやひとつひとつの導線といった美しいなめらかな動きは十分に習得できていて、とても丁寧なダンスでした。
ここまでのお話で「現時点でどんな振付を踊れるかは、たいした問題ではない」ということがご理解いただけたかと思います。
実際、じゅりっこさんは次のように語っています。
たくさんの振付を踊れることは、それほど重要じゃない。それよりも、ひとつずつ完璧になるまで練習するほうが上達します。たったひとつでも極めることができたら、身についたスキルはその先ずっと役に立つので。
第二章はここまでです。
参考になる部分はありましたか?
現代では多くの「楽しいこと」で溢れています。
スマートフォンがあれば、何時間でも、人生の残り時間を溶かすことができるでしょう。
言い換えれば、夢中になることや集中することを妨害するコンテンツに溢れているということです。
そういったものが無く、頭の中ぜんぶをダンスに集中できた彼女は幸運であり、環境に恵まれていたと言えます。
あなたの周りの環境はどうでしょうか。
あなたの子供の環境はどうでしょうか。
じゅりっこさんも、ダンスの上達には環境が非常に重要だと語っています。
次回の第三章では、彼女のダンス環境が母の手によって、半ば強制的に、大きく変えられていきます。
それに対して彼女は何を思い、どう成長していくのでしょうか。
つづく